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第8回総会を開催、カジノ反対の総会宣言を決議しました

秋田なまはげの会は、2014年7月5日、秋田市のアトリオン7階くらしの研修室で、第8回総会を開催しました。

総会では、「『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案』(いわゆる『カジノ解禁推進法』)に反対する決議」が承認され、同法案の成立および秋田へのIR(カジノを含む特定複合観光施設)誘致に反対することを確認しました。
(決議文は下記のとおりです)

総会後の講演会は、湯沢市福祉課の八柳長門課長より「生活困窮者自立促進支援モデル事業実施自治体としての取り組みについて」と題して行われました。
湯沢市は、秋田県内で唯一、他市町村にさきがけて同事業に取り組みました。取り組むことになったきっかけ、制度構築のポイント、実施状況と効果、今後の課題についてわかりやすく解説していただきました。

恒例の、賛助会員(弁護士・司法書士)らによる「大相談会」には、10名の相談がありました。


    「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」
    (いわゆる「カジノ解禁推進法」)に反対する決議

 2013年12月,国会に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」案(以下「カジノ解禁推進法案」という。)が提出され継続審議となっている。安倍内閣は本年6月24日,経済政策の指針となる新たな成長戦略と「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定し,カジノを含む特定複合観光施設(IR)を成長戦略の目玉とし,カジノ解禁推進法案について次の臨時国会で成立を目指すとしている。
 この法案は,本来賭博罪として処罰の対象となるべきカジノ賭博について,観光及び地域経済の発展及び財政の改善に資するとして,一定の条件の下に解禁することを推進するものであるが,IRを日本の成長戦略の目玉とする考えは根本的に誤っていると言わざるを得ない。そもそも,賭博は何らの生産性のない所有の移転であるところ,これによって経済成長を図ろうとすること自体に根本的疑問がある。国や地方自治体が,国民にギャンブルを奨励し,ギャンブルでの金儲けを応援する考えは間違っている。

 賭博がギャンブル依存症患者を生み出すことは広く知られている。我が国におけるギャンブル依存症の推定有病率は男性9.6%,女性1.6%と,諸外国に比べて突出して高い。これは,我が国にはすでに競馬,競輪,競艇等の公営ギャンブルが存在し,さらにはパチンコ・換金施設の営業が放置されていることによるものと考えられる。
 そして,カジノは「略奪的ギャンブル」と言われているように,「滅びるまで遊ぶ」「有り金がなくなるまで賭ける」ように,ハイテクを駆使して射幸心と陶酔感をあおり立て,ギャンブル中毒者を作り出すことで収益を上げるビジネスモデルとなっており,その射幸性は公営ギャンブル等の比ではない。海外のカジノ周辺地域にはギャンブル依存症患者があふれ,入場禁止となる者が増え続けている実態がある。
 ギャンブル依存症は,進行性の病気であり,治療には相当の困難を伴う。その経済的損失は,依存症患者の労働能力,生産性の低下,家庭崩壊,多重債務,自殺,多重債務,犯罪による損失,治療のための費用等,莫大な額となる。韓国では2009年のギャンブル産業の売上高が16.5兆ウォンに対し,社会全体で60兆ウォンの経済的損失が生まれたと政府により試算されている。カジノ解禁による収益経済効果は,これによる経済的損失を超えることはない。

 そして,IRが生み出す収益は,一部の納付金が自治体に入る以外,海外の民間カジノ運営企業が取得し,株主に配当され海外に流出する。また,IRがカジノによる収益を利用して他の観光施設のサービスを格安で提供する仕組みとなっているために,既存のホテル・レストラン,観光施設は太刀打ちできず,IRを設置した地域では,既存の観光施設は衰退の一途を辿るとみられる。さらには,IR推進側によるIRの経済効果の算出では,周辺の地域住民の集客を想定しており,地域住民,特に高齢者のタンス預金を狙っていることが明らかである。IRを設置した自治体においては,既存の施設は衰退し,地域住民は命金をIRに奪われる。IRが地域に見切りを付けて撤退した後は,荒れ野と化す。いわば,イナゴの大群が全てを食い荒らし,去って行くのに等しい。

 この他,暴力団によるカジノを利用した資金獲得活動のおそれ,ギャンブル依存症患者による犯罪の発生,マネー・ロンダリングのおそれ,青少年への悪影響等,カジノ解禁がさまざまな弊害をもたらすものであることは,カジノを解禁した各国においても明らかとなっている。カジノ解禁推進法案が議論される前提として,まずはこれら賭博を解禁した場合に生じうる害悪を防ぐための方策についての十分な検討が必要であるところ,この法案は何らの対応策も示されず,検討がなされたものとはおよそ考えられないものである。

 当会は,多重債務者からの相談を受け,生活建て直しを支援する活動を行ってきたが,ギャンブル依存症に陥っている者・また,その家族の悲惨な実態をよく知っている。カジノが解禁され,このような悲惨な境遇の者が増えていき,カジノ周辺の地域経済が崩壊していくことだけは,絶対に許すわけにはいかない。
 当会はカジノ解禁推進法案に断固反対する。

                  2014年7月5日  秋田なまはげの会

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               あいさつする近江直人会長

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               湯沢市の八柳長門課長による講演会